作陶熱発症の記

作陶のつれづれ

補修: 金継もどき

菓子鉢を作ったところ、底部の土締めが足らず、本焼きでヒビが入ってしまいました。
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制作当初、お菓子ばかりでなく煮物なども盛れるようにと考えていましたが、ヒビがあっては液漏れします。このままでは当初の目論見が達成できませんので、なんとか補修できないものかとweb検索しました。
漆や合成漆による金継の他に、アクリル樹脂と食器用アクリル絵具で補修できることがわかりましたので試してみました。


使った材料は、写真右から、mutoの型取くんとプラリペア、pebeoのヴィトレア160アウトライナー金色とマスキンテープ。
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ちなみに、ヴィトレア160はガラス彩色用ですが、陶器の彩色にも使えます。


まず、底部のヒビが貫通していたのをプラリペアで充填。
方法は、熱湯に漬けて柔らかくした型取くんで裏側から抑え、ヒビ部分にプラリペアのアクリル樹脂粉を蒔いた上に、プラリペアのメチルメタクリレート液を染み込ませ、5分ほどで硬化。裏側にも同様に、プラリペアの粉と液で補填。
次に、充填した部分の上にpebeoのヴィトレア160アウトライナーを絞り出し、3日間自然乾燥の後、160℃に余熱した電気オーブンで40分加熱、オーブン庫内で徐冷させて完成。
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補修の結果、ヒビからの水漏れはなくなりました。課題としては、アウトライナーでチューブから絞り出すより、アクリル絵具を筆で置いたほうがよいかもしれないことでしょうか。


今回試してみてわかったことは、アクリル樹脂による補修は漆の金継に比べて圧倒的に早くできること、専用アクリル絵具はオーブン焼成で食器として利用できることでしょう。漆の金継にこだわらなければ、アクリル樹脂とアクリル絵具による補修のメリットは大きいと考えます。


追記8/5: プラリペアの耐熱温度は100℃であるのに、160℃のオーブンに入れるのは問題ではとのご指摘を頂きました。
それを承知で試してみました。アクリル樹脂の特徴は高熱に弱いことで、240℃以上で溶融します。アクリル樹脂充填部分の上に水性アクリル絵具を盛りつけ、160℃40分程度なら耐えられるかもしれないとオーブン焼成してみました。